一生懸命ではなく、より賢く働きましょう:生物製剤の開発と商品化を加速します

January 20, 2021 by Paul Jorjorian (5 分で読めます)

カテゴリー |バイオ医薬品


過去10年間でバイオ医薬品業界は2桁成長を遂げ、全体的な市場シェアも増大しました。事実、 2020年の市場予測報告書によると、全世界のバイオ医薬品市場は2026年までに約1500億ドルに達すると予想されています。

バイオ医薬品イノベーターにとっては大きな機会ですが、市場一番乗りを目指して懸命に努力している小規模/スタートアップバイオテクノロジー企業の競争は激化しています。幸いにも米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局は、革新的なスペシャリティー医薬品の急増を踏まえ、できる限り速やかな上市を支援する有効なアプローチとして、 次の4つの制度を整備しています。

  • Accelerated Approval(迅速承認)迅速承認は、重篤な疾患におけるアンメット・メディカル・ニーズを満たす薬剤について代替エンドポイントによる評価を認め、FDA承認の迅速化を可能とする制度です。
  • Breakthrough Therapy(画期的新薬)既存薬に比べ大幅な改善をもたらす可能性がある薬剤の開発・審査の迅速化を目的とした制度です。
  • Fast Track(ファストトラック)重篤な疾患におけるアンメット・メディカル・ニーズを満たす薬剤の開発と審査の迅速化を促すプロセスです。
  • Priority Review(優先審査)通常の審査期間が10ヵ月であるのに対し、Priority Review指定を受けた薬剤については、FDAの審査期間の目標が6ヵ月以内となります。オーファンドラッグはすべてPriority Review指定を与えられます。

ですが、バイオテクノロジーのイノベーターは、バイオ医薬品の早期上市を実現するために規制当局のみに頼ることはできません。バイオ医薬品の開発から上市までの道のりを最速で進めるために、実験室レベルでできることはたくさんあります。言うまでもなく、成長し続けるバイオ医薬品市場で最も重要なのはスピードです。バイオ医薬品イノベーターにとって、スピードは市場一番乗りの成否を分ける要因です。

技術について

バイオ医薬品の開発を速やかに進めるには、適切かつ革新的な技術が必要です。特に開発の初期段階では技術が重要です。事実、真に革新的な技術を適切に用いれば、開発期間を6週間〜8週間短縮することが可能です。さまざまな適切な技術がありますが、各技術がどの程度開発期間を短縮できるのか評価することが大切です。

  • Berkeley Lights社Beacon® Optofluidicシステム:光を用いて細胞をマイクロ流体チャンバー内外に移動させることにより、数千個の細胞を処理・分析し、従来の手法よりもはるかに迅速に多くの知見を獲得することができるシステムです。具体的には、Beaconシステムでは、一度に7,000個のクローンを分析・処理することが可能です。
  • Ambr15®細胞培養システム:ハイスループットの自動バイオリアクターシステムを用いることにより、10〜15 mLのマイクロバイオリアクタースケールで24〜48の培養を平行して行うことが可能です。このバイオリアクターシステムは柔軟性が極めて高く、クローン選択や培地/添加物の開発、初期プロセス最適化、perfusion培養を模倣した条件下でのスクリーニングに最適です。
  • Ambr250®ハイスループットシステム:Ambr250®システムでは、十分な機能を有するシングルユースのミニバイオリアクター(100〜250 mL)12〜14基を使用することができます。プロセスの開発/最適化、スケールダウン検討、細胞培養・微生物発酵に最適です。
  • シングルユース技術:シングルユース技術(SUT)は、速やかな治験薬製造・開発期間の短縮に役立つ技術ですが小規模/スタートアップバイオテクノロジー企業にはコスト面が問題となる可能性があります。その場合は、SUTを使用できるだけでなく、頑健なプロセスにより原価を吸収できる大規模CDMOに委託することが最良の選択肢かもしれません。

シングルベンダー戦略とマルチベンダー戦略

長年にわたって、小規模バイオ医薬品企業は、バイオ医薬品の開発・製造・上市を複数業者に委託するマルチベンダー戦略を取ってきました。各領域の専門家に委託し、1社にすべてを任せることのリスクを避けていたわけです。一見、理にかなったアプローチですが、実際には開発期間の長期化を招き、市場一番乗りを達成できる確率を下げてしまうことがあります。

アジリティを確保し、早期上市を実現するには、開発から上市に至る道のりの引き継ぎ作業を減らすことが最も重要です。すなわち、引き継ぎが多いほど、開発が遅れるリスクが高まるのです。

複数業者に委託した場合、各業者にとって委託範囲以外の作業に取り組む理由はあまりありないのが普通です。また、多くの業者はそれぞれ異なる作業方法や定義を持っています。その結果、プロジェクトの進捗が遅れるだけでなく、次の業者の混乱の原因にもなります。バイオ医薬品の開発の一部の作業を別の業者に引き継ぐ場合、ミスや見落とし、損害責任が発生し、時間のかかる作業のやり直しや、開発期間の長期化につながり、コスト増を招きかねません。

このようなリスクを抑えるには、より総合的なサービスを提供できる単独業者に委託することが最も賢明な選択肢となりつつあります。シングルベンダー戦略では、複数業者の調整・管理を行う必要がなく、バイオ医薬品の開発・製造・上市に伴う大きなロジスティクス負担を軽減することができます。その結果、患者さんの人生を変えるような次の革新的バイオ医薬品の創製というお客様の主力事業に時間と資源を投入することが可能となります。

迅速かつエンド・ツー・エンドのソリューションを提供する適応力の高いCDMOを見つけるには?

COVID-19がもたらした変化と課題への対応・適応にバイオ医薬品業界が取り組み続けている中でも、優れたCDMOは開発を最速で進める方法を構築します。技術移管の効率化とバリデーション作業の合理化を実現できるCDMOは、従来法に比べ数ヵ月も開発期間を短縮することが可能です。

  • 技術移管:優れたCDMOは、プロセスの標準化、プロトコールの合理化、テンプレートに基づく文書作成により、スピードと作業効率の向上を実現します。
  • プロセスバリデーション:業界をリードするCDMOは、明確に定められた方針のもと、後期技術移管におけるプロセスフローの統合と的確なプロセスバリデーションを確保します。
  • プロセスの特性解析:良いCDMOはあらゆる段階におけるリスクに備え、低減させるとともに、科学に基づくアプローチにより、スケジュール遵守とプロセスの理解のバランスを取りながら開発を進めます。

最後に、CDMOが紹介するエンド・ツー・エンドのソリューションについては、その根拠を確認しましょう。そのようなサービスを紹介する業者は多くありますが、実際に開発期間を短縮でき、バイオ医薬品の早期上市に貢献した実績があることを裏付ける具体的な根拠がなければ、単なるセールストークであり、真の技術力を備えていない可能性があります。

 

バイオ医薬品の開発・上市に貢献するサーモフィッシャーサイエンティフィックの総合的サービスQuick to Care™をご紹介します。