国際共同治験のすべての参加国において、円滑な治験薬ラベル翻訳と規制要件対応を確保するにはどうすればよいでしょうか?治験プランニングに関連する日々の業務をこなしながら、規制要件を確認して適切なラベルの記載内容を作成することは容易ではありません。ですが、事前の準備により、長期的に大きなメリットが得られる可能性があります。臨床試験、特に国際共同治験の開始準備を速やかに進めるための時間と労力のかけ方について、キーポイントを解説いたします。
- 各国の規制要件を整理した中央レポジトリを構築または利用しましょう。データベースが理想的ですが、メンバー間で治験に関連する翻訳や規制情報を共有できるSharePointなどの機能を用いることも業務効率化に一歩近づきます。各国の規制要件に関する知識を収集・管理し、いつでも参照・利用できるようにしておくことは非常に有用です。
- 各国の情報は四半期ごとにレビューし、最新情報を反映しましょう。各国の標準的規制要件に関する情報を整理した後は、四半期ごとにレビューすることが大切です。社内の薬事チームまたは治験薬ラベル要件に関する専門知識を備えたパートナーが常に最新情報を整備しておくことにより、最終的なラベルレビューを速やかに行うことが可能です。毎回記載内容を詳細にチェックするのではなく、内容と書式をさっとチェックするだけで最終レビューが終了します。
- 承認済みの記載内容を用いて新しいラベルを作成しましょう。社内作業またはラベル作成の専門業者とのパートナーシップにより、承認済みの記載内容のデータベースを構築すれば、既に承認されている記載内容をさまざまな治験に速やかに利用することができます。承認済みラベルライブラリの構築は、ラベル作成時間を50%以上短縮させることが確認されており、明確さと一貫性の向上、治験チーム・関連スタッフの作業負担の軽減を実現することが可能です。承認済み記載内容を用いた新規ラベル作成は、薬事レビューの迅速化にもつながります。
- ラベル記載内容を自動でエキスポートできるシステムを利用しましょう。手作業によるプロセスは時間がかかり、ミスも起きがちなため、ラベルに必要な情報を自動で引き出せるシステムを開発または購入する方が得策です。プロセスを完全ペーパーレス化すれば、ラベル記載内容の翻訳、レビュー、承認をコンピュータ上で行うことが可能です。特に国際共同治験では、このような配慮により、規制要件遵守の確保、ミスが起きるリスク低減が可能となり、治験開始準備を速やかに進めることができます。