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開発の初期段階では、新薬候補の特性はほとんど明らかになっていないかもしれません。また、試験等から得られる情報の増加に伴って、プロセスや処方は頻繁に変更されます。First-in-Human(FIH)試験に向けて準備を進める中、FIH臨床試験開始申請のためのコモン・テクニカル・ドキュメント(CTD)1の各項目にどの程度の情報を記載すべきか迷うことが少なくないでしょう。化学、製造および品質管理(CMC、CTDモジュール3)もその1つです。通常、この開発段階で得られているデータは限られているため、申請資料にはどの程度の詳細が必要とされるのか疑問に思われるかもしれません。FIH臨床試験開始申請資料の構成と内容について、指針となる事項をいくつかご紹介します。
CTD様式でのFIH臨床試験開始申請資料では、現時点の製造プロセスを詳細に記述し、特定のアプローチ/プロセス/方法の選択理由や、方法を変更した場合にはその根拠を示さなければなりません。工程パラメータの変更や製造方法の調整が純度、力価など安全性に密接に関連する特性に影響を与える可能性がある場合には、事前に規定した指標に基づいて前臨床で使用した被験物質と治験薬についてプロスペクティブな比較を行うことが必要です。
プロセスについては、この開発段階では、プロセスの性能と期待される原薬・製剤の安全性および品質について規制当局が基本的な評価を行うことができる限り、通常、概要を示すだけで十分でしょう。標準品については改良されていくことが予想され、FIH試験についてはバリデーションに関する情報は必要ではありませんが、申請資料には以下の事項を記載しなければなりません。
このように、CTDでは、プロセスの概要を示すとともに、初期開発における指標としてモニタリング・検討を行うパラメータについて考察しなければなりません。FIH試験の段階では、原薬の製造プロセス・品質管理方法はまだ開発中の段階であるからです。
この段階では、新薬候補の重要品質特性(CQA)はまだ選択されていないため、申請資料には特性解析などの詳細を示すことが不可欠です。最も懸念されるのは、新薬候補があらゆる点においてヒトを対象とした臨床試験への移行に適しているかどうかということであるため、申請資料には以下の事項を記載しなければなりません。
ヒント:以下の事項を記載しましょう。
提出した安定性データが、少なくとも計画されている臨床試験期間の妥当性を裏付けていることを、試験結果をもとに示さなければなりません2,3。
さらに、安定性の項には以下の事項を記載する必要があります。
ヒント:細胞株に関する詳細は極めて重要です。
宿主細胞株の起源、遺伝子発現構成体の作製、セルバンク作製に関する詳細な情報を提示しましょう。この段階ではワーキング・セル・バンクは必要ありませんが、計画されている試験を実施できる十分な量がなければなりません。
開発フェーズ(第I相、第II相、第III相)にかかわらず、臨床試験開始申請を適切に行うには、以下の事項が必須です。
以上のとおり、特に臨床試験に入ってからは、開発中に行われたすべての変更について、その経緯を明確にし、妥当性を示せるようにすることが極めて重要です。あらゆる開発段階において、CTDの主な目的は、臨床開発の次のフェーズへの移行または承認取得の準備が整っていることを示す、説得力と一貫性のあるエビデンスを規制当局に提供することです。
CTDのCMCパートには何を、どの程度の深さで記載すべきかについて詳しく解説したチェックリスト(印刷可能)やウェビナーをご用意しました。是非ご活用ください。