機器認定の4段階

April 10, 2022 by Staff writer (3 分で読めます)

カテゴリー | 治験関連サービス


前回のブログで考察したとおり、適格性評価とは、特定の設備/施設/システムがその使用目的に適しており、使用できる状態であることを確認し、文書化するプロセスです。バイオレポジトリの場合、その設備が設定範囲・許容範囲内で恒常的に作動するという信頼性を確保するものであり、所定の基準に基づくバリデーションが必要とされるプロセスの各構成要素について試験を実施することが可能となります。

「適格性評価」と「バリデーション」の違いについては理解が深まっていると思いますので、次に設備の適格性評価の4つのステージについて詳しく見てみましょう。

以下に示す4段階の適格性評価は、試験対象のプロセスが特定の環境において機能できるかどうかを確認するのに役立ちます。

  • 設計時適格性評価(DQ)
  • 設置時適格性評価(IQ)
  • 運転時適格性評価(OQ)
  • 性能適格性評価(PQ)

設計時適格性評価(DQ)

冷凍庫の設計時適格性評価では、温度範囲、サイズ、容量、必要電力、使いやすさなどの性能のほか、製造元の保証とサポートについても評価することが大切です。設計時適格性評価は、各冷凍庫を選択し、使用する理由を把握するのに役立ちます。

冷凍庫は、適切な材料から製造された品質の高いものを使用しなければなりませんが、この要件は設計時適格性評価において評価することができます。冷凍庫を構成する材料は、バイオ医薬品に有害な作用を及ぼすものであってはなりません。また、検体/製品と反応を起こしたり、それに含まれる物質を吸収したりするものであってはなりません。例えば、一部の冷凍庫にはプラスチックライナーが使用されていますが、プラスチックには溶出し、検体/製品に付着する可能性がある可塑剤が含まれていることがあります。したがって、そのような特性を評価し、検体/製品が設備に含まれる物質を吸収したり、反応したりしないことを確保することが不可欠です。システム/設備の具体的な設計を決定するときにユーザー要件を考慮すべき段階が設計時適格性評価です。

設置時適格性評価(IQ)

設置時適格性評価では、実際の使用場所における冷凍庫の設置・受領に関する具体的な情報に焦点を当てます。到着時の冷凍庫の状態を中心に試験を行い、正確な電圧やアンペア数などの期待される電気仕様を評価し、設置計画書および設置時適格性評価計画書に従って正しく設置されているか確認します。校正やメンテナンス、清掃に関する要件は設置時に明確にしなければなりません。設置時適格性評価では、すべての構成要素、部品、サービス、制御装置、計測器などを明確にし、検証します。また、測定器や制御装置、指示装置は、トレーサビリティを確保できる適切な国家または国際標準器を用いて校正することが必要です。可能な限り、以下をはじめとする詳細を確認するようにしましょう。

  • サプライヤーおよび製造業者
  • システム/設備の名称、型式および製造番号
  • 設置日
  • 予備部品、関連する手順書および証明書

運転時適格性評価(OQ)

運転時適格性評価では、例えば以下のような製造業者による表示内容について試験することに焦点を当てます。

  • 冷凍庫は、製造業者が規定する温度を保つか?
  • 冷凍庫の運転温度範囲から逸脱した場合にはアラームが鳴るか?
  • 運転パラメーターはすべて、所定の規格に適合しているか?

運転時適格性評価では、設定された運転範囲(主に温度)において所定の許容範囲内で恒常的に作動することを検証します。また、運転時適格性評価を用いて、運転範囲・環境の上限値および下限値(「ワーストケース条件」)を含む条件下で重要パラメータを試験することもできます。すなわち、設備の機能に負荷をかけ、製造業者仕様への適合、そしてエンドユーザーが定める要件がある場合にはエンドユーザー要件への適合を検証するのです。

性能適格性評価(PQ)

現在、さまざまな温度プログラムを設定可能な冷凍庫が多く販売されているため、規定された温度曲線を評価することが不可欠です。性能適格性評価では、試験対象の冷凍庫が恒常的に機能するかどうかを確認します。また、実際の通常条件下で、高い信頼性と再現性を持って設計仕様およびユーザーが定める要件どおりに機能することを確認します。

以上の4段階の設備の適格性評価全体に共通するテーマは「品質」です。貴重な検体の保管に使用する設備が悪影響を及ぼさないことを一定の基準に基づいて確認しなければなりません。4段階の設備適格性評価を実施することにより、冷凍庫を購入し、貴重な検体を保管する前に必要な措置を取り、検討すべき重要な事項について情報を得ることができるでしょう。

 

ロジスティクス活動を通した温度維持について解説したeBookをご用意しました。是非ダウンロードしてご覧ください。