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1913年、ヘンリー・フォードがミシガン州ハイランドパークで製造方法に革命を起こしたとき、目指していた主な目標は、「最良の製品を最も効率的かつ費用対効果の高い方法で製造する」というシンプルなものでした。フォードは、作業員/技術がよりスマートに機能し、原料の無駄を減らせるよう、製造の「流れ」を改善することに力を入れた結果、製造の原則を永遠に変えてしまったのです。時代を先取りしたこのような考え方は、今日の製造方法の多くに影響を与えています。最近導入されているアジリティの高い医薬品製造手法もその1つです。
長年にわたって、 バッチ生産 は標準的な医薬品製造方式でした。バッチ生産とは、「処理開始前にすべての材料を投入し、処理終了後に取り出す」というプロセスです。バッチ生産は、長く用いられてきた医薬品製造手法ですが、その体系的、段階的なプロセスには、材料と時間の無駄が生じるという大きな2つの欠点がありました。
「バッチ生産では、各製造工程が完了してから次の工程に進まなければなりません。同様に、各バッチの製造が完了してから次のバッチの製造を開始する必要があります。バッチ生産は、複数工程から構成される時間のかかるプロセスであり、各工程後に品質チェック/試験が必要とされるため、人的ミスや製品汚染が生じる重大なリスクを伴います。さらに、バッチ処理では、複雑な設備・機械が複数必要であるため、原料や中間体をいったん保管した後、別の場所に運搬して製造プロセスを完了しなければならないこともあります。」
Gautam Chauhan, M.S., and Vivek Gupta, Ph.D., St. John’s University
従来のバッチ生産では、リコールの頻発や時間の無駄、汚染リスクの増大、貴重な原薬の無駄が生じるため、製薬企業は大きな経済的損失を被っていました。ですが、このような時代遅れの製造プロセスに代わる生産方式があります。それが連続生産です。FDAは、 連続生産 を「材料のプロセスへの投入と取り出しを同時に行う」プロセスと定義しています。連続生産というアジリティに優れたワークフローにより、品質保証の強化とスケールアップの効率性向上が可能です。具体的には、 連続生産は以下のようなメリットをもたらします。
バイオ医薬品の急速な成長がニュースの大半を占める製薬市場において、経口固形製剤(OSD)は今もなお大きな市場シェアを占めています。成長し続けているバイオ医薬品市場とは異なり、OSD市場はより近代的な製造アプローチをなかなか採用してきませんでした。では、アジリティの向上が求められる業界において、なぜOSD市場における連続生産方式の導入は遅れていたのでしょうか?
一部の経口固形製剤は大規模製造を必要としますが、多くの経口固形製剤は比較的小さなバッチで製造されます。これは、連続生産は製造スケールの大きな製品にのみ適していると一般的に誤解されていることともあいまって、OSD業界で連続生産方式の採用がなかなか進まないことの 最も大きな要因 になっていると考えられます。このような誤解はありますが、生産量にかかわらず経口固形製剤のスケールアップを計画しているのであれば、連続生産方式の採用が適切かもしれません。
従来のバッチ生産は、 実生産スケールでの製剤の挙動を把握しにくいことが弱点です。「最終バッチのサイズにより、スケールアップの影響を完全に把握することは実際的でないため、コストの観点から限られた数の技術用バッチが製造されます。」一方、連続生産方式では、商用生産でも同じ小規模プロセスを用いますが、それを長期間にわたって稼働します。このため、重量にかかわらず粉体のスケールアップにおけるミスの発生を防ぐことができ、さらに作業時間と貴重な原薬使用量を削減することが可能です。
連続生産戦略を検討しているのであれば、どのような選択肢があるのか、そして、自社製造と外部委託のどちらが各社にとって最適であるのか評価することが大切です。多くの製薬企業、特にスタートアップ企業では、連続生産方式の採用に必要な人的・物的資本の初期費用やその投資の回収期間が課題でしょう。連続生産方式を採用するときに検討すべき事項を以下に示します。簡略化した内容ですが、連続生産戦略の実行にあたっての基本的な検討事項です。
Consulting with specialists and/or building your team is key to a successful continuous manufacturing strategy. A well-rounded team should include people with technical skills—from scientists to engineers, quality assurance/control specialists, and regulatory professionals. Before making the investment in continuous manufacturing, there should be no gaps in the talent necessary to run your strategy.
The team should have a full and mutual understanding of how technologies will interact with existing processes or how technologies should be built—if you’re establishing a new line. This key understanding of a continuous manufacturing strategy should be agreed upon by your team prior to any investment in capacity.
Another important consideration in developing a continuous manufacturing strategy, is determining your line’s end goal. This will not only enable your team to develop a reasonable goal but will provide a clearer picture of the various deliverables necessary to build an effective continuous manufacturing line. When determining your line’s end goal, ask your team:
Much like steps one and two, these questions and considerations must be answered and addressed well before any investment in equipment is made.
経口固形製剤への連続生産方式の導入にあたっては、医薬品受託製造開発機関(CDMO)とのパートナーシップも選択肢の1つです。外部委託にあたっては、製剤の開発、製造、流通など各領域を専門とする複数業者に委託する企業が多いものの、単独業者をパートナーとすることが最も賢明なアプローチとなりつつあります。Why? なぜ?なぜなら、包括的なエンド・ツー・エンドのソリューションを備えた単独業者は、作業スピードを高め、作業のやり直しを減らし、コスト削減を実現できるからです。
ですが、すべてのCDMOが同じわけではありません。連続生産、そしてその後の物流業務を請け負う単独業者候補としてのCDMOには次の点を確認しましょう。
最後に、提携先候補のCDMOの評価においては、各社のニーズを満たす、確実かつ効果的な連続生産戦略を構築できる専門知識と幅広い技術力を備えていることを確認することが大切です。開発・上市のための連続生産戦略を効率的に実行できる力を備えているでしょうか?規制対応サポートはどうでしょうか?医薬品の製造を管理できるだけでなく、規制当局に提出すべき関連資料を作成・管理できる専門知識を備えているでしょうか?規制当局と良好な関係を構築しており、円滑な製造作業を確保できるでしょうか?
これらの質問は、連続生産を支援するCDMOのあるべき姿のほんの一部にすぎませんが、提携を検討しているCDMOがどのような会社であるのか知る手がかりとなるでしょう。
サーモフィッシャーサイエンティフィック:戦略的連続生産パートナー:サーモフィッシャーサイエンティフィックは、2017年以来、経口固形製剤の開発・上市のための連続生産を牽引しているリーディングカンパニーです。